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HHKB と Vim との親和性について語る

HHKB と Vim との親和性について語る

この記事は、Vim 駅伝の 20 記事目になります。

HHKB と Vim との親和性について語る

HHKB と相性の良いエディタ

HHKBと最も相性のいいエディタと言えば、何をイメージされるでしょうか。 そうです、Emacsですね。 えっ、Vim じゃないのと思われた方、違います。 HHKB と最も相性の良いエディタは Emacs です。賛否両論あると思いますが、私の中では、Emacs 以上に HHKB と相性のいいエディタはありません。 Emacs がなぜ HHKB と相性が良いのかと言うと、その入力思想にあります。 Emacs は Meta キーを駆使して、入力と編集をシームレスに行うという思想があります。Meta キーで入力切替をスイッチ出来るので、不浄キー*1を使わずに移動や文字選択が可能です。 HHKB の開発理由として、PC/AT 互換機配列が、UNIX 使い(Emacs 使い)にとって不評だったというのがあり、このキーボードが想定していたユーザは Emacs ユーザだった事が分かります。

Vim と HHKB の親和性

それでは、Vim と HHKB の相性が悪いのかというと、そんな事はありません。むしろ、非常に相性が良いと言えます。 VimEmacs 同様に不浄キーを使わずに文字入力を行うという思想が根底にあり、矢印キーを取っ払った HHKB と相性が悪い訳がありません。 しかしながら、VimEmacs の決定的な違いとしてモードという概念があり、Vim には、入力モード、ノーマルモード、ヴィジュアルモード、コマンドモードの 4 つの モードがあり、このモードを駆使して文字の編集を行います。 このモードによる切り替えと HHKB は相性が良いかと言われると、非常に悩ましい問題です。 相性が良いとも言えますし、そうでもないとも言えます。一つ言えるのは、Emacs よりもモード切替という「手間」が増えているのは事実です。 とは言え、このモード切り替えの方が楽に脳を切り替えられるという人もいますので、必要十分な経費だと私は考えています。 昨今は私自身が反射でモード切り替え出来ているので、Vim 上にモード表示をする必要はなく、完全にコントロール出来ている自負はあります。 このあたりは、人間というソフトウェアが非常に高性能であるため、効率が悪いと思われる行為に関しても最適化を進めることで通常の効率を超えるという事が稀によくある現象です。

閑話休題。 いずれにせよ、入力に関して Vim と HHKB は非常に親和性の高いツールであると言えます。

私のエディタ遍歴

実は、Vim に傾倒する前に私は秀丸エディタのヘビーユーザーでした。 エディタ遍歴をざっと書くと、VZ EditorMIFESEmEditorTeraPadサクラエディタ秀丸エディタを経由して、Vim に到達しました。 最近は、NeoVimをメインで愛用しています。 これらを見ても分かるように、ほとんどがインターネット(あるいはパソコン通信)で手に入れることが出来るエディタを使い続けている事が分かります。 AtomSublimeText と言った流行のエディタを試しで使うことがありましたが、Vim になってからはほぼ Vim しか使っていません。 VSCode はたしなみとして触っていますが、本格的には使いこなせていません。なぜなら、Vim の方が簡単にカスタマイズ出来るからです。 同じテキスト入力という世界で考えてみると、一太郎Word は、いまだに使い方がよく分かりません(笑)。

私がエディタに求めること

私のテキストエディタ遍歴を見ると分かる通り、テキストエディタに一番求めているのが「高速性」で、次に「安定性」と「入力効率」です。 現在愛用している Vim(NeoVim)は、高速かつ入力効率がほどほどに良い(あとカスタマイズしやすい)という点が気に入っています。 安定性に関しては、めちゃくちゃでかいファイルを開いたら安定しないので、この点に関してはそこまで評価はしていません。 もっとも、そんなでかいファイルを開くようなことをするなとか、そんなでかいファイルを開くなら less 使えとか、色々お言葉はあると思いますし、自分もそうしろと思うので、これに関しては用途が違うという事で結論づいています。

ちなみに、秀丸エディタは、高速性と安定性の極地にいるようなエディタだと未だに感じていますし、たまに起動させるとその起動の速さに圧倒されることがあります。 近年は、各種カスタマイズと、マシンパワーで高速起動に関しては、ある程度補える時代になってきました。 したがって、高速性(及び安定性)に関しては、実はそこまで意識しなくても良くなってきたというのが、現代のエディタ環境だといえます。 現代はむしろ、入力効率や、補完機能が優れているエディタが好まれる、そういう時代なのではないでしょうか。

HHKB と不浄キーを極力触らないエディタとの相性

となると、後はそのエディタと相性の良いショートカットは何なのかという話になり、さらにそのショートカットを効率よく入力出来るキーボードは何なのかという話になってくる訳です。 この点で、HHKB は、EmacsVim という不浄キーを極力触らないエディタと抜群に相性が良いのです。 入力できるキー数を減らすだけでなく、各種キーへの適切な距離、適度なキーストローク、心地よい打鍵感、10年以上使ってもぶっ壊れない高耐久性、机を広く使えるサイズと HHKB はまさに文字を打ち込むのに適したキーボードと言えます。 そして、そのキーボードの性能を最大限に発揮できるのは、キー入力効率をとことんまで考え抜かれたエディタたちになるわけです。

VSCode に関しては、Vim のように入力したり、モード変更出来たりする拡張が備えられており、現代における最大公約数的なエディタとして、日々更新が行われており、現在の多くのエディタを駆逐してきた一面があります。 しかしながら、今後どれだけ VSCode が機能を追加していったとしても、EmacsVim が持つ不浄キーに触れない思想と融合することはないでしょう。 そもそも、設計思想が違いますし、私はそれで良いと思っています。 VimEmacs で高速にテキストを打ち込んでいきたいという変態的思想を抱える人たちは一定数存在していますし、そういう人たちは私が観測する限り、自分で環境そのものを大幅に変えたいと願う人が多く、基本的に「普通」の枠に収まらない人たち(大分オブラートに包んだ表現)なので、どれだけ VSCode のシェアが伸びていったとしても、その人たちのシェアを奪うことは出来ないでしょう。

HHKB に関しても同様で、このキー配列の素晴らしさと打鍵感に心奪われてしまった人は一定数いる訳でして、慣れてしまうと、他のキーボードになかなか浮気しなくなります。これは、HHKB だけでなく、Realforce に関しても似たような事が言えるかもしれません。 最近では、自作キーボードで理想の配列+理想のキースイッチという組み合わせで HHKB を超えるキーボードを作っている人たちも見受けられますが、まだちょっと時代を先取りしすぎている感じがします。

キーボードの進化と未来

最終的に、誰もが気軽に自分好みの入力環境が出来るようになれば、世界はぐっと変わるかもしれません。 現在はエディタを使ってテキストを大量に入力する時代ですが、今後は音声入力オンリーで色々解決出来るようになる世界がわりとすぐ後ろまで来ている気がします。

そのような時代になったとしても、きっと Vim 使いや HHKB 使いは、キーボードを駆使して高速に入力をしていく、そんな近未来が見えています。 私は、そんな時代になっても、頭脳とキーボードを駆使して、問題を解決したり、自分の思想を語ったり、しょうもない事をネットに流ししたりする、そういう事をし続ける子どものような大人として、生き続ける気がしています。

*1:カーソルキーの事